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国際協力機構(JICA)は、1月17日、観光を通じた国際協力への貢献に向けた連携を促進・強化することを目的として世界観光機構 (World Tourism Organization: UNWTO) と協力覚書を締結した。
 
日本政府は、観光を成長戦略の大きな柱の1つとして、観光産業の振興を「明日の日本を支える」ための優先課題と位置付けており、今回の署名はこれを踏まえたもので、マドリードのUNWTO本部にて、越川和彦JICA副理事長とタレブ・D・リファイUNWTO理事長による署名式が行われた。
 
JICAは、観光分野において、1970年代から国家観光開発計画策定や、観光マーケティング・プロモーション、観光人材育成、自然遺産や文化遺産を活用した観光地域振興などの支援を実施している。産業活動によって生み出される付加価値がモノからサービスに転換している中、観光産業の重要性も高まっており、このような観光開発への支援により、開発途上国の地域経済の発展、雇用創出、格差是正に資することを目指している。
 
2015年に国連によって採択された持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals: SDGs) において、観光は3つの目標 (*目標8、12、14) に関連するものと位置付けられており、有形・無形文化遺産の保護や自然環境保全に配慮しながら地域の雇用や収入を創出し、持続可能な発展のための重要な推進力となることが期待されている。
 
これらの目標達成に貢献するため、JICAと世界観光機構は今後、開発途上国における観光政策・戦略の策定、組織能力強化等に関する共同支援を行う予定。日本においては、奈良県にあるUNWTO地域事務所との連携により、観光分野研修の実施も予定しているほか、さらに、観光開発のあり方についての共同調査・研究も進めていく予定。
 
JICAは、観光庁、日本政府観光局などの国内観光関連機関と緊密に連携をとりながら、観光分野における世界最大の国際機関である世界観光機構と協働・連携し、双方の強みを活かしてシナジー効果を創出することによって、より効果的で、質の高い観光開発支援を実施・促進することを目指す。

 
* SDGsに含まれる観光に関連する目標
目標 8:包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する
目標12:持続可能な生産消費形態を確保する
目標14:持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
 

 
世界観光機構 (World Tourism Organization: UNWTO)
世界の観光振興を図るべく、観光政策に関する意見交換、国際会議・セミナーの実施、観光分野での技術協力、観光統計の整備等、国際社会が経験してきた観光に関する課題や知見の集約・検証を長年に渡っておこなってきた国際機関。
 
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