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【開館20周年記念展 3展示会】第1弾では「シュルレアリスム」と「ダリ」の関係にせまる

 
サルバドール・ダリ (1904-1989) の作品コレクションで有名な福島・諸橋近代美術館にて、開館20周年記念展『シュルレアリスムとダリ ~幻想と驚異の超現実~』が2019年6月23日まで開催されている。
 
フランス・パリで興った20世紀最大の思想運動 ー シュルレアリスム。その発足を溯り、シュルレアリスムの在り様、芸術家たちの実験的な制作技法、そしてサルバドール・ダリがグループにおいていかなる存在であったのかを紹介。
ルネ・マグリットやポール・デルヴォーなど様々なシュルレアリスト作品も展示される。
 
20世紀初頭、第一次世界大戦を経て既成の社会通念に懐疑の念を持った若き表現者達がフランス・パリに集い、「驚異」や「幻想」を頼りとして展開した「シュルレアリスム」は、日本で「超現実主義」とも訳される。この運動に合流したダリは独自の表現を確立させながらも、シュルレアリスムの思想に反する者としてグループを離脱。それにも関わらず、以後シュルレアリスムの体現者として、そして20世紀を代表する芸術家として世に広く認知されるまでに至る。

マン・レイ《シュルレアリストのグループ》1930年/モダン・プリント 岡崎市美術博物館蔵 (5/20まで展示)

マン・レイ《シュルレアリストのグループ》1930年/モダン・プリント 岡崎市美術博物館蔵

 
本展覧会での出品予定数は、展示替えを含めて約115点。シュルレアリスムの発端となったアンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」が発表された1924年前後の作品をはじめ、ダリのグループ加入から離脱するまでの1930年代前半、シュルレアリスムの代表格としてダリがアメリカで名声を轟かせた40年代以降など、ダリがシュルレアリスムにおいて如何なる存在であったかを、時系列の4章で構成し紹介する。
 
また、諸橋近代美術館所蔵のダリ作品《甘美な死骸》にみるシュルレアリスムの「遊び」表現が体験できるワークショップや親子で楽しめるフロッタージュでのトートバック作りワークショップ、ゲストによるトークイベントも開催される。*人数制限あり / 要予約制

 

 

ジョルジョ・デ・キリコ《イタリア広場》1914年 油彩・カンヴァス 公益財団法人諸橋近代美術館蔵 © SIAE, Roma & JASPAR, Tokyo, 2019 E3290

ジョルジョ・デ・キリコ《イタリア広場》1914年 油彩・カンヴァス 公益財団法人諸橋近代美術館蔵 ©SIAE, Roma & JASPAR, Tokyo, 2019 E3290

第1章:虚構の現実世界とシュルレアリスムの前夜
 
シュルレアリスム(超現実主義)とは、幻想や夢、偶然性を鍵に無意識と非合理の世界を探求し、意外性と驚異に満ちる表現を生み出した20世紀最大の思想運動である。その誕生は1924年、詩人アンドレ・ブルトン(1896-1966)の『シュルレアリスム宣言』発表によるものと定義づけられているが、その端を発したのは1914年に勃発した第一次世界大戦の惨禍に見舞われたヨーロッパの社会情勢であった。のちに芸術家となる若者達は、前線に動員されて戦地の惨状を目の当たりにしたことで、それまで通底してきた社会の常識や彼らが信仰してきた合理主義と秩序、すなわち「現実」に対して不信と抵抗を持つようになる。もはや彼らの目には虚構にしか写らない「現実」の破壊、あるいはより強度の「現実」を見出すことを試みた芸術運動がヨーロッパ各地で展開され始め、それがシュルレアリスムの発端となった。
 

 
ポール・デルヴォー《森》1948年 油彩・板 埼玉県立近代美術館蔵 © Foundation Paul Delvaux, Sint-Idesbald ‒ SABAM Belgium / JASPAR 2019 E3290

ポール・デルヴォー《森》1948年 油彩・板 埼玉県立近代美術館蔵 ©Foundation Paul Delvaux, Sint-Idesbald ‒ SABAM Belgium / JASPAR 2019 E3290

第2章:シュルレアリスム始動 超現実を求めて
 
1924年、ブルトンはフランス・パリで『シュルレアリスム宣言』を発表。これにより、シュルレアリスムは名実を伴った芸術思潮として本格的に始動したといえる。ブルトンのもとには画家、彫刻家、詩人、写真家などあらゆる分野の創作者が集まってグループを成し、日々実験的な手法を開発して制作を続けた。
オートマティスムやコラージュ、フロッタージュなど、ともすれば遊びの 一環とも捉えることができる手法を用いた作品の数々は、制作の過程で生じた「偶然の組み合わせ」や「奇妙な意 外性」に満ちている。これらの要素は、秩序や既成概念から脱するという点で、シュルレアリスムに欠かすことのできないものであった。
 

 

 
サルバドール・ダリ《果てしなき謎》1938年 鉛筆・紙 一般財団法人草月会蔵 © Salvador Dali, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2019 E3290

サルバドール・ダリ《果てしなき謎》1938年 鉛筆・紙 一般財団法人草月会蔵 ©Salvador Dali, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2019 E3290

第3章:革命児から反逆児へ ダリの加入と離脱
 
1929年、シュルレアリスム・グループに新たな仲間としてスペイン出身の芸術家サルバドール・ダリ (1904-1989) が加わる。グループの発足以降、シュルレアリストたちはオートマティスムを筆頭に、偶然性に大きく頼る手法でもって創作活動を行っていた。受動性と切り離し難いこれらの手法に対して、ダリが解いたのは意識下の欲望を顕証する積極的なアプローチ、すなわち「偏執狂的 = 批判的方法」である。ブルトンはシュルレアリスムに新たな展開をもたらす存在であると期待してダリを歓迎した。一方のダリはグループに加入して芸術家としての足場を固めたものの、次第にグループの政治的思想から逸れていき、ブルトンとの関係に亀裂が生じ始める。1934年、グループ内の「公開裁判」において、過激な言動でブルトンを激怒させたダリは実質的にグループを追放されたのである。
 

 
サルバドール・ダリ《ダリの太陽》1965年 油彩・メゾナイト 岡崎市美術博物館蔵 © Salvador Dali, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2019 E3290 (5/20まで展示)

サルバドール・ダリ《ダリの太陽》1965年 油彩・メゾナイト 岡崎市美術博物館蔵 © Salvador Dali, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2019 E3290

第4章:ダリが引き継いだシュルレアリスム
 
1939年9月に第二次世界大戦が勃発し、翌40年にナチスがパリへの侵攻を開始すると、多くのシュルレアリストが亡命を余儀なくされ、アメリカへ亡命するシュルレアリストが相次ぐ中、一足先にアメリカへ出入りしていたダリはニューヨークにその名を轟かせていた。
積極的にメディアへ露出し、アメリカの富裕層の肖像画の受注製作や大衆向けの作品を手がけるダリに対してブルトンは厳しい批判を続けたが、もはやダリはアメリカにおいてシュルレアリスムの代表格として確固たる存在になっていた。
1966年、ブルトンの死とともに、運動としてのシュルレアリスムはひとまずの収束を迎える。しかしシュルレアリスムの思想とそこから生じた制作手法は、ある意味ではダリを介してアメリカに伝播して影響を及ぼし、今日まで広く脈々と引き継がれている。
 

 

 

 

開館20周年記念展『シュルレアリスムとダリ ~幻想と驚異の超現実~』

 
会期:2019年4月20日(土)〜6月23日(日) 9:30〜17:30 (最終入館30分前)
   ※5/21(火) 展示替え休館
会場:諸橋近代美術館
住所:〒969-2701 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093番23
TEL:0241-37-1088
 
観覧料:一般 950円 / 高校・大学生 500円 / 中学生以下無料
※ 20名以上の団体料金は各50円引き
※ 教育施設対象の観覧料免除制度あり (要事前申し込み)
※ 身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳所有者と付添者1名は無料
 
諸橋近代美術館
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Youtube:MorohashiMuseum / Morohashi museum of modern art 諸橋近代美術館
  
情報元:諸橋近代美術館