julio2014_makotoito_top

 
20数年前伊藤誠氏が第一勧業銀行(現みずほ銀行)のマドリード支店勤務であった頃、マドリード日本人会から依頼され作詞作曲した「マドリッド音頭」。
この歌は現在でもマドリード盆踊り大会にて歌い継がれている。

 

 
長年多忙な金融業界にて活躍された同氏は2012年4月に独立され、現在は楽曲創作とコンサート活動に専念されている。その伊藤誠氏のコンサートが、7月24日在スペイン日本大使公邸内のホールにて開催された。
 
コンサート会場となった広いホールには、20数年前の伊藤氏マドリード勤務時代からの旧友の皆さんが大勢来場され、それに今回日本から伊藤氏と共に当地に同行されているファンのグループの皆さんも加わり超満員。

julio2014_makotoito_3
 

 
現マドリード日本人会会長山下洋佑氏の歓迎のご挨拶の後、伊藤誠音楽事務所の太田仁子氏の司会の下、伊藤氏のギターと歌に篠原佐保氏のバイオリンと脇田洋大氏のピアノが華を添え、先ずは一曲目の「神様の贈りもの」を皮切りに始まったコンサート。
 
8年前に突然死の危機を乗り越え、その後3回の手術を経て体調を回復された伊藤氏は、6年間飛行機にも乗らなかったそうで、今回は20年振りのマドリード訪問。その歌にも特別な思いがこもる。
次に「君の風になろう」、「この思いを」と冒頭から3曲の命の歌が続く。

julio2014_makotoito_1
 

 
二節目はスペインをテーマにした歌が3曲。「アダージョ」、「ヘネラリフェの花と水」、「Bailamos」。
「ヘネラリフェの花と水」は絶対愛を唄った作品で、病床に臥せっておられた頃に作られた歌らしい。そして次に季節を歌った3曲、「五月の宵」、「京・小雨・三年坂」、「長い手紙」。
 
学生時代と銀行勤務初期を合わせて8年半を京都で過ごされた伊藤氏は二年坂、三年坂と続く小道が大好きだとのこと。そして「天空の森」、「桜」で最後に向かって盛り上がったコンサートは、「マドリッド音頭」の大合唱でクライマックスを迎えた。
 
「マドリッド音頭」を作られた伊藤氏自身は、その直後の転勤により、この歌が盆踊り大会で歌われるのを今回スペインに来るまで見たことがなかったらしい。歌を作った20数年後に初めて、日本人とスペイン人が入り混じってマドリッド音頭を歌い踊るのを目の当たりにして、伊藤氏の胸に去来したものは何だったのだろうか。

julio2014_makotoito_6
 

 
鳴り止まぬ拍手を受けて、アンコールで歌ったのはスペイン語の曲 ”El sueño imposible”「見果てぬ夢」。Joe Darion作詞、Mitch Leigh作曲のこの曲を、長いスペイン生活で培った完璧なスペイン語で歌い上げ、心に沁みるコンサートを締めくくった。
 
最後には、このコンサートを実現した立役者の一人、マドリード盆踊り大会初代実行委員長の西川宏平氏のご挨拶、及びマドリード日本人会より伊藤氏への記念品の贈呈があった。
 
このコンサートはマドリード日本人会主催によるイベントで、日本スペイン交流400周年事業の一つです。

julio2014_makotoito_5
 

 

 
コンサートの熱意冷めやらぬ伊藤氏に、今回の20年ぶりのスペインについてのご意見を伺った。

 
ー スペインに来て変わったなと思われたことは?

住んでいたのは市内の北の方でM-30の近くのコンダード・デ・トレビーニョと言う通りなのですが、周りの景色が様変わりしていて、ビックリしました。高速道路が出来て景色が削られたりしていましたね。でもマドリードの市内はそれほど変わったとは感じなくて、昔と同じだなと言う印象が強いです。

 
ー マドリッド音頭はどのようにして生まれたのでしょうか。

マドリード盆踊り大会の2回目が開催されることになり、もっと参加者を集める為にもオリジナルソングが欲しいと言うことで、当時盆踊り大会の実行委員長だった西川さんに依頼されて作りましたね。
 
それまでにマドリード水曜会、マドリード日本人会主催で、コンサートを2度やっていたんですよ。それでそういうお話を頂いたのですが、私は音頭と言うものはそれまで作ったことがなかったので、最初は「難しいと思いますよ」と言う話をしていたのですが、そのうちに「ハポン・ポン・ポン」と言う部分が出来たらもう楽しくって。結果的には直ぐに出来てしまいました。
 
ただ、その時帰国命令が出ていて、結局6月の下旬に日本に帰ったのですが、盆踊り大会は7月だったのでその時は見る事が出来なくて、今回初めてマドリッド音頭で踊る地元の人達を見る事が出来ましたね。

 
ー 歌が生まれた20数年後に「マドリッド音頭」で踊る地元の皆さんをご覧になってどう思われましたか?

本当に感激ですね。
世の中にそんなにあることではないでしょうし。こんなに続くかどうかも考えたこともなかったですし。やぐらの上で歌って、皆さんが踊っていらっしゃるのを見て本当に感激しました。浴衣姿で来られている皆さんも多かったですし、本当に素晴らしいと思います。

 
ー 最後に今後の活動予定を教えて頂けますか?

島根県の松江が故郷なのですが、9月に松江の広場でコンサートを行う計画があります。
それから10月には大阪のある学校の設立90周年式典でギターを弾く事になっています。その後10月から11月に、麻布台のホールにて秋のコンサートを開催すると思います。
皆さん是非いらして下さい。

 

 
子供の頃ご両親に「ドン・キホーテ」の絵本を貰って読んだ時に、「いつかスペインに行ってみたい」と思ったと言う伊藤氏。子供の頃に読んだ絵本の世界が今回のコンサートまで続いているのではないだろうか。
 

 

 


伊藤誠 オフィシャルサイトhttp://itomakoto.net
 
ディスコグラフィー
『この思いを』 2013年