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国際女性デーにちなんで、3月8日から22日までマドリードにて、日本を代表する女性映画監督である田中絹代河瀬直美の作品が上映される。
“Ellas Crean”と題されたこの映画週間では、国際交流基金とLa Filmoteca Españolaの共同企画により、田中絹代監督の「乳房よ永遠なれ」、「流転の王妃」、「女ばかりの夜」の3作品と、La Filmoteca Españolaの企画により、河瀬直美監督の「ふたつ目の窓」が、英語・スペイン語字幕付きで楽しめる。

 

田中絹代監督 作品上映(協力:国際交流基金)

田中 絹代 (たなか きぬよ)
1909年12月29日生まれ。1924年~1977年に女優、映画監督として活躍。
14才で早々に松竹の看板女優となる。代表作『彼と田園』(28年)、『マダムと女房』(31年)、『伊豆の踊子』(33年)、『春琴抄・お琴と佐助』(35年)、『浪花女』(40年)のほか、空前のヒット作『愛染かつら』(38年)などに出演。晩年には『三婆』『サンダカン八番娼館・望郷』(ともに74年)で、老いの人生を臆せず演じきり、ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞に輝いた。一方日本最初の女性監督として『恋文』(53年)、『月は上りぬ』(55年)など6本もの作品を手がけたことは、国際的にも高い評価を受けている。1977年逝去 (満67歳没)

 

乳房よ永遠なれ (Pechos eternos)

3月8日(火)21:30〜
3月18日(金)17:30〜

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1955年/110分
キャスト 月丘夢路、葉山良二、織本順吉
安西茂との不幸な結婚生活に終止符をうったふみ子は、二児を抱えて実家に戻った。ふみ子とは幼友達のきぬ子の夫・森卓が外地から引揚げて来たのを機に、北海タイムスの山上家で短歌のつどいが催され、勧められるままに何首かを詠んだふみ子は絶讃を浴びた。その夜、見送りの途すがら、森のかけた激励の言葉はふみ子の心に明るい灯をともした。
ある日、仲人の杉本夫人が来て、離婚手続の済んだことを知らせたが、長男の昇だけは元夫の許に帰さなければならなかった。そんなある日、森が急病で死んだ。泣くにも泣けない気持でふみ子は森の写真を見つめるのだった。安西家からこっそり昇をつれ戻し、親子水入いらずで東京に職を見つけようとしたふみ子は、乳癌で札幌病院に入院した。先頃「短歌時代」に新人作家の募集があった時、森によって送られた彼女の短歌が入選し、歌壇の話題となっていることを東京日報の大月からの便りで知った山上が病院に駈けつけたのは、彼女のみずみずしい乳房が切りとられる日であった。

 

流転の王妃 (La princesa errante)

3月9日(水)21:30〜(この回は入場無料。座席数に制限あり。)
3月20日(日)17:30〜

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1960年/102分
キャスト 京マチ子、船越英二、金田一敦子
元気な姿で登校した英生が行方不明になって数日目、白木の箱となって帰ってきた。英生は竜子と夫・溥哲の愛のしるしであり、清朝を嗣ぐ唯一人の子だった。日支両国に暗雲漂う頃、竜子は関東軍の朝吹大将の訪問を受けた。朝吹は、竜子と日本・満州両国親善のために、満州国皇帝の弟・溥哲の妃にと言った。意外な話に驚く竜子にかまわず話は進められ、建国十年を迎えた満州国首都の新京で中国風の結婚式が行われた。学校を終えて間もなく異郷に嫁いだ竜子は、慣れない風習と、夫の兄・溥文らの冷い眼に苦しんだが、夫の溥哲の愛情に慰められた。子どもの英生が生れ家庭に明るさが増した。しかし、昭和二十年八月、ソ連の対日戦開始とともに平和の夢は破られた。新京にソ連軍が侵入、竜子は幼い英生の手を引き、夫や皇帝の一行とともに満鮮国境へ避難の道を歩んだ。

 

女ばかりの夜 (La noche de las mujeres)

3月11日(金)21:30〜(この回は入場無料。座席数に制限あり。)
3月22日(火)19:50〜

1961年/93分
キャスト 原知佐子、北あけみ、関千恵子
昭和三十三年、売春防止法が施行されたが、巧みに法の網の目を潜って春を売る女は、依然として後を断たなかった。しかし、警察のきびしい取締りで検挙された彼女たちは、強制的に厚生寮か補導院へ送られ、そこで一定の補導期間を終えて更生への途に踏み出すのだが、彼女たちを迎える社会は意外に冷たく、想像できない困難が待ち受けていた。白菊婦人寮もそうした施設の一つで、邦子、チエ子、亀寿、小雪ら三十三人の女が収容されていた。彼女たちは、野上、北村、岡田など数人の寮母の熱心な指導のもとで、規律ある毎日の生活を送っていた。模範生邦子は、職安の斡旋で食料品店に勤める身となった。が、ある日、米屋の洩らした一言から他の店員が彼女の過去を知り、主人の妻よしにそれを告げ口された。それからというものは、差別待遇、軽侮と敵意に満ちた態度に苦しめられる毎日が続いた。一夜、よしの留守中に主人の達吉を誘惑、日頃のよしへの仕返しに強いて過ちを犯した邦子は、あてもなく街に出た。以前の悪い血がふたたび騒ぎはじめた。

 

 

河瀬直美監督 作品上映(企画:La Filmteca Española)

河瀬 直美(かわせ なおみ)
1969年5月30日生まれ。大阪写真専門学校映画科卒業後、『につつまれて』や『かたつもり』などの作品を制作し、ドキュメンタリー映画の賞を受賞。1997年に制作した『萌の朱雀』では、第50回カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞し、史上最年少での受賞を果たした。
2007年には『殯の森』でカンヌ国際映画祭グランプリ、2009年には同じくカンヌ国際映画祭で「金の馬車賞」、2014年にはウラジオストク国際映画祭でグランプリ、2015年にはフランス芸術文化勲章など、様々な国際映画祭を受賞している日本を代表する映画監督である。

 

ふたつ目の窓 (Aguas tranquilas)

3月9日(水)17:30〜
3月11日(金)19:20〜

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2014年/110分
キャスト 渡辺真起子、村上虹郎、吉永淳
「殯の森」の河瀬直美監督が、太古から神と人間が共存してきた地・奄美大島の壮大な自然を背景に、16歳の少年少女の恋と成長を通して人間の愛や無常を描いたヒューマンドラマ。
奄美大島で暮らす界人は、八月踊りの満月の晩、海に男性の遺体が浮かんでいるのを発見し、そんな界人を同級生の杏子が見ていた。杏子の母イサは島民たちからユタ神様として慕われているが、医師からは余命宣告を受けていた。神様と言われながらも死から逃れられない母の存在に矛盾を感じた杏子は、行き場のない感情を界人にぶつけてしまう。一方、界人は恋人のいる母・岬の女としての一面に複雑な思いを抱えており、その思いを胸に幼い頃に別れた東京で暮らす父のもとを訪れる。そして界人が東京から戻ると、母が失踪していた。歌手のUAと俳優・村上淳の息子である村上虹郎がオーディションを経て界人役に抜てきされ、俳優デビュー。杏子役は「リアル鬼ごっこ2」の吉永淳。虹郎の父・村上淳も出演している。

 

 
FESTIVAL “ELLAS CREAN”


会場:Cine Doré
住所:C/ Santa Isabel, 3. 28012 Madrid
主催:FILMOTECA ESPAÑOLA
協力:国際交流基金
お問合せ先:913 691 125

ellas crean:http://ellascrean.com