スペインにおける日本の報道状況

 

 
6月22日、マドリード報道関係者協会において、日本とアジアに関連する報道に精通したジャーナリストが集まり、「スペインにおける日本の報道状況」に関する討論会が開催された。
参加者に共通していたのは、スペイン国内においての、日本に関する報道量の少なさを嘆く声である。

スペイン国営放送のアジア駐在員を長く務めたロサ・マリア・カラフ女史は、「より目を引くニュースを、より重要なニュースよりも優先するという、我々ジャーナリストの報道姿勢の犠牲者の一人が日本である。現在の報道姿勢は、市民の現実を知る権利をないがしろにし、コンテンツの商品化を促進している。」と語った。

マドリード・オフィシャル・ジャーナリスム・スクールの「プロモシオン・トキオ・64」の主催によるこの討論会では、日本は世界第三の経済大国であるにも拘わらず、スペインにおける関連報道が少ないことを指摘する声が大半を占め、一方日本におけるスペイン関連の報道もサッカーやフラメンコ関連に集中していることが挙げられ、この状況は両国において共通しているとの認識に至った。

 
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スペインの報道機関であるアヘンシア・エフェの日本駐在員を24年務めたカルロス・ドミンゲス氏は、日本の文化についてもっとスペインで報道することの重要さを語り、その実現にはジャーナリスト側と読者側両方の、更なる努力が必要であると説いた。

スペイン国営ラジオ放送RNEの番組「Asia Hoy 本日のアジア」を主宰するエロイ・ラモス氏は「アジアで起こることはスペインにも多大な影響を与えるにも拘わらず、報道機関はそれを忘れているようである。」と語った。
ウエブサイト Asianortheast を主宰するサンティアゴ・カスティーリョ氏は、日本が世界でも有数な国力を持つに至ったその過程と、2020年の東京オリンピックが日本の更なる繁栄の牽引力になる可能性について話した。

 
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今回のラウンドテーブルの司会を務めた、マドリード・オフィシャル・ジャーナリズム・スクールの「プロモシオン・トキオ・64」の代表者であるフェルナンド・セグ・イ・マルティン氏は、スペインの報道機関で日本にその出先機関を設置しているのはアヘンシア・エフェ以外にはなく、通常は中国の出先機関が日本をカバーしているのが実情であることと、反対に日本の報道機関の出先もスペインにはないことを指摘し、スペインと日本の間の報道量の増加のためには、両国の報道機関の更なる努力が必要であると結論づけた。

画像提供:Carlos Megía, Zinking On