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ジョアン・ミロを魅了した日本の版画
 
スペイン・カタルーニャ出身の画家ジョアン・ミロ作品を集めたバルセロナのミロ美術館 (ジョアン・ミロ財団:Fundació Joan Miró) にて、大正から昭和にかけて活躍した日本人画家・伊東深水 (1898-1972) の画展『Itō Shinsui. Tradición y modernidad』が7月22日まで開催されている。(終了日延期につき5月18日修正)
 
若きジョアン・ミロの作品にも影響を与えたと言われる日本の浮世絵。
日本画独特のやわらかな表現による「美人画」が有名な、江戸後期の浮世絵の一派・歌川派浮世絵の正統を受け継ぐ日本画・版画家の伊東深水 。関東大震災や第二次世界大戦を挟みながら、様々な画家たちが新版画を発表しているが、最も長い期間作画をしたのは伊東深水であった。
 
明治40年頃から起こった版画運動で、浮世絵版画の伝統を継承しながら浮世絵の復興と近代化を目指した「大正新版画運動」。浮世絵の画系を引く伊東深水が大正5年 (1916年) に版行した「対鏡」は伊東深水18歳の時の作品であり、赤い着物が印象的な鏡に見入る妖艶な女性が描かれた、大正新版画運動の第2作目の作品として知られている。
 
今回の展示会では、ジョアン・ミロ財団と伊東深水の家族コレクションを保管するTaiyo no Hikari Foundationとの共同企画展で、伊東深水が1916〜1964年の間に手がけた作品より厳選された60点が展示されるほか、ジョアン・ミロ作品「E.C.リカルトの肖像」(1917年 / ニューヨーク近代美術館所蔵) では、友人の画商リカルドの背景に日本画が描かれ、さらに自らの署名も日本風に縦に記している点などが注目されるなど、スペインの画家と日本の美術との関係性を見ることができる。

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左:「対鏡」1916年 © Taiyo no Hikari Foundation, Japón, 2018 | 右:「髪」1952年 © Taiyo no Hikari Foundation, Japón, 2018

 

 
伊東 深水 (いとう しんすい)


1898年東京深川生まれ。1972年没。大正・昭和期の浮世絵師、日本画家、版画家。
東京に生まれる。速水御舟の作品に深い感銘を受け、日本画家になることを決意する。鏑木清方に入門。おもに官展などで活躍した。浮世絵の流れを汲む風俗画家として、伝統を継承しながら、常に新しい画風を試み制作活動を行った。描写力に優れ、健康的で明朗な美人画を描き、多くの人に親しまれた。

 
Youtube:Fundació Joan Miró, Barcelona / Itō Shinsui. Tradició i modernitat
 

 

伊東深水『伝統と近代』展示会
 
開催日:2018年3月1日〜7月22日
会場:Fundació Joan Miró, Barcelona
住所:Parc de Montjuïc 08038 Barcelona
TEL:+34 934 439 470
 
入場:オンラインチケットはこちら