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” 新しいチーム、新しい場所ということもあって、また多くのことを学ぶことが出来ました。”

 
スペイン女子サッカー一部リーグで2シーズン目を終了された訳ですが、先ずはValencia CF Femenino での今シーズンを振り返っての感想を聞かせて下さい。

まずは、1シーズン、大きなケガをすることなく終えたことにほっとしています。今シーズンはスペインで過ごす2シーズン目ということもあって、昨シーズンとは違って、ある程度いろいろなことを理解しながら送ることの出来るシーズンでした。それでも、新しいチーム、新しい場所ということもあって、また多くのことを学ぶことが出来ました。

 
渡航1シーズン目はアトレティコ・マドリード、2シーズン目はValencia CF Femeninoで過ごされた訳ですが、この二つのチームの違いやそれぞれの魅力等について教えて下さい。

まず、サッカーの面においては、アトレティコマドリードは攻撃面において、個で打開していく、縦に早いサッカーを展開していました。一方、現在所属しているValencia CF Femeninoでは攻守においてチームで闘うことを追及するサッカーを目指しています。またグランド内外において、どちらのチームも非常に明るいポジティブなチームです。ただ現在所属しているチームは監督が時に頭を抱えるほど賑やかなチームです。

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Valencia CF Femenino のチームメイトの皆さんとの関係はいかがですか? 練習面、試合面、またサッカーを離れてのプライベートな面ではどうでしょうか?

チームメイトはとにかく仲が良いです。練習や試合で、時に揉めることもありますが、良い意味で何でも言い合うことの出来る関係が上手く出来上がっています。またグランド外においても、チームメイトの家族とまで仲良くさせてもらっています。おかげで、スペインという異国の地にも関わらず、第二の家族がたくさん出来ました。

 
今シーズン住んでおられたバレンシアとはどのような街ですか? 昨シーズンに住まれたマドリードと比べてはいかがでしょうか。

マドリードと比べてバレンシアは小さな街です。マドリードに比べたら田舎という印象がありますが、私は海が近くにあって、とても気に入っています。

 
バレンシアに住んでおられていいなと思われたこと、また反対に困ったこと等はありますか?

バレンシアでまずお勧めしたいのが食べ物です。パエリアは発祥の地ということもあって本当においしいです。また、綺麗な海が近くにあるのも魅力の一つです。困ったことは、さほどないのですが、少し田舎ということもあって、車での移動が主なので、車を持ってない私にとっては、移動手段に少し困ることがあります。

 
日本とスペインのサッカーの違いやそれぞれの魅力について教えて下さい。(練習内容、試合内容、戦術、他)

私が日本で所属していたチーム、浦和レッズレディース、去年プレーしたアトレティコ・デ・マドリード、そして現在所属しているValencia CF Femenino、どのチームもボールポゼッションの練習を多く取り入れているように感じます。ただ、日本ではもっと基本的な技術、ボールコントロールや正確にボールを蹴ることを大事にしていたように思います。
 
一方スペインでは1時間半程度の限られた時間の中で集中して練習を行い、個人練習などはほとんど行いません。試合においては、日本は試合当日も時間をかけてしっかり準備していく印象があります。それに比べるとこちらでは、選手同士間でパっとスイッチを入れて、お互いに高め合って試合に入っていく印象があります。

 
日本とスペイン、または世界で目標にされている選手、好きな選手はいますか? それはどうしてですか?

スペインでプレーするようになってから、海外でプレーしている日本人選手、男女問わず目標にしています。実際に異国の地で闘ってみて、改めてその大変さを痛感したからです。スペインではレアルマドリードのモドリッチ選手や、FCバルセロナのシャビ選手、アスレチックビルバオのイトゥラスペ選手のプレーは良く観ています。いつもシンプルにプレーしていて、ボールの受け方、ポジショニング等とても参考になります。

 
25月に日本で岩倉選手が元所属されていた浦和レッズレディースと現在所属されているValencia CF Femeninoの親善試合が行われましたね。この試合の様子、またクラブの遠征旅行の様子などを聞かせて下さい。バレンシアの選手は遠征を楽しんでいましかた? 試合はいかがでした? 日本ではどんなところへ行かれましたか? 何かエピソードがあれば教えて下さい。

バレンシアの選手は全員が初めての日本でした。長距離移動をするのも初めての選手が多く、試合では自分達のサッカーを上手くグランドで表現することが出来なかったのですが、クラブにとっても、選手にとってもとても貴重な体験になりました。観光する時間はあまりなかったのですが、養護学校で子供達とサッカーをして、明治神宮・表参道に行くことが出来ました。
 
また、試合の前日の夜には浦和レッズレディースの選手達と交流会兼ねての食事をしました。そして帰国する日には、短い時間でしたがディズニーランドに行くことが出来ました。選手たちが驚いていたことの一つに、日本では女子サッカーの試合もスタジアムで行い、多くの人が観戦しに来ることです。そして、日本の暖かい対応にもとても驚いていました。

 
これから暫くシーズンオフとなりますが、オフはどのように過ごされますか? 日本で過ごされると伺いましたが。

シーズンオフは日本で家族やなかなか会えない友人達に会いに行こうと思っています。また年に一度の貴重な時間、身体のメンテナンスを十分にしたいと思っています。

 
来期に向けての目標を聞かせて下さい。

来期はチームとしても個人としてもタイトルを取りたいと思っています。そのために自分の出来ることを常に100%でやっていきたいと思っています。

 

” スペインでプレーした経験を何らかの形で生かせることを “

5年後、10年後はどのようになっていたいと思われますか?

5年後、10年後はグランドからは離れていると思いますが、ここスペインでプレーした経験を何らかの形で生かせることをしたいなと思っています。

 
岩倉選手から見て、女子サッカーは今後どうなって行くべきでしょうか? 期待も含めて教えて下さい。

女子サッカーが男子サッカーのように完全プロ化になってくれたら本当に凄いことだと思っています。一方、それがとても難しいことも充分承知しています。ただ少なくとも、現在の日本のような環境、移動は飛行機や新幹線、試合はスタジアムで多くの人が脚を運んで観に来る、世界中で、女子もサッカーをすることがもっと当たり前のようになっていったら良いなと思っています。

 

” 自分を信じて、やり続けていれば多くのことを学ぶことが出来、何かが見えてくると思います。 “

最後に、日本で女子サッカー選手を目指している方々にアドバイスやメッセージがあれば教えて下さい。

私は小さい時からずば抜けて上手な選手ではありませんでした。それは今でもそうです。ただ、サッカーが凄く好きな気持ちはいつも持っています。サッカーに限らず、好きなことはとことんやって欲しいなと思っています。きっと、楽しいことや良いことばかりではないと思います。辛いことや、苦しいこともたくさんあるかもしれません。それでも、自分を信じて、やり続けていれば多くのことを学ぶことが出来、何かが見えてくると思います。私も現役でいる限り、とことんやり続けます。

 
どうもありがとうございました。今後のご活躍を期待しています!

 

関連リンク:Valencia C.F Femenino