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戦後日本の巨匠、映画監督 増村保造の厳選6作品

 
国際交流基金とFilmoteca de Catalunyaによる日本の映画シリーズ『増村保造 (Yasuzo Masumura. Retratos al límite)』が、12月14日から29日にかけてバルセロナにて開催される。

 
戦後の日本映画史を背負う存在であった映画監督のひとり、増村保造 (1924-1986)は、その細やかな人間観察と人間ドラマの探求によって、映画の中に独自視点の人間像を描き続けた。
近年、そのモダンで大胆な演出と独特のエロチシズムが、海外を含め新たに評価されてきている。
 
生涯で残した57作品より、この映画シリーズでは厳選された6作品『赤い天使 (1966)』『暖流 (1957)』『清作の妻 (1965)』『刺青 (1966)』『兵隊やくざ (1965)』『女の子箱より 夫が見た (1964)』が上映されることとなる。
今回上映される作品にも多く出演する女優・若尾文子は、増村監督第2作目より20作品に渡って出演を重ね、数多くの名作映画を残している。

 
増村 保造 / Yasuzo Masumura


映画監督、脚本家。1924年山梨県出身。
東京大学法学部を卒業後、1947年大映に助監督として入社。1952年イタリアへ留学し、フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティらに学ぶ。帰国後、溝口健二や市川崑の助監督として参加し、1957年『くちづけ』で監督デビュー。監督第2作『青空娘』に若尾文子が出演し、その後多くの作品でタッグを組むこととなる。大映倒産後は、独立プロ行動社を設立し、『大地の子守歌』『曽根崎心中』などを監督。勝プロ、ATGなどで『大地の子守歌』『曽根崎心中』などの作品を作る。1986年死去。享年62歳。

 

 
赤い天使 / The Red Angel

2018年12月14日 (金) 17:00h 会場:Sala Chomón
2018年12月18日 (火) 21:30h 会場:Sala Laya

オリジナル:日本語 字幕:カタルーニャ語 / 1955年 / 95分

 
日中戦争時代の中国大陸を舞台に、地獄のような戦場で従軍医師・岡部に想いを寄せる従軍看護婦・さくらの壮絶な恋と運命―。昭和14年、さくらは従軍看護婦として天津の陸軍病院に赴任。精神をすりへらす仕事にモルヒネを常用するようになってく岡部をさくらはいつしか愛し始めていた。モルヒネと狂気にむしばまれながらも兵士たちを生き延びさせようとする医師。純粋さゆえ、自分の肉体を使っても兵士たちを癒やそうとする看護師。やがて最前線に赴く2人に圧倒的な戦力の中国軍が押し寄せてくる…。

Youtube:trailer / 『赤い天使』(Red Angel)/1965/予告編

 

 
暖流 / Warm Current

2018年12月15日 (土) 21:30h 会場:Sala Laya
2018年12月20日 (木) 18:30h 会場:Sala Laya

オリジナル:日本語 字幕:カタルーニャ語 / 1957年 / 94分

 
名匠・増村保造が欲望に忠実な女性を鮮烈に描いた傑作メロドラマ
病院の経営立て直しに来た男、その病院の看護師と令嬢の男女3人のすれ違う愛情。
都内屈指の志摩病院の創立者より建て直しを依頼された日疋。病院内の情報を教える看護師のぎんから愛情を寄せられるようになったが、日疋は院長の娘・啓子に好意を抱いていた。啓子は婚約者である医師・笹島のプロポーズを受けることに。志摩病院と志摩家の資産の正常化と管理を任された日疋は、仕事を無慈悲に成し遂げていく。創立者の急逝に伴い日疋によって経営の一新が進められ、乗っ取り派も追放されていく。笹島の愛人の存在を知った啓子は婚約を解消し、日疋への愛情を抱いていく。そしてそれぞれの恋愛事情も結末に向かっていく…

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清作の妻 / Seisaku’s Wife

2018年12月16日 (日) 19:00h 会場:Sala Chomón
2018年12月19日 (水) 18:30h 会場:Sala Laya

オリジナル:日本語 字幕:カタルーニャ語 / 1965年 / 93分

 
やっと掴んだ女の幸せを、戦場が奪い去ろうとする… 妻は震える手で夫の目を狙った!
戦争を背景とした差別や偏見の中で、たくましく生きていくヒロインの姿を描く。一家の生計を支えるため、お兼は老人の妾となっていた。老人は大金を残し他界。お兼は家族の待つ村へ戻るが村人たちの目は冷たい。村の模範青年である清作と出会い、二人は周囲の反対を無視して結婚した。しかし日露戦争が勃発し、清作のもとに召集令状が届くと…。

Youtube:trailer / 『清作の妻』(Seisaku’s Wife)/1965/予告編

 

 
刺青 / Irezumi

2018年12月23日 (日) 21:30h 会場:Sala Chomón
2018年12月30日 (日) 16:30h 会場:Sala Laya

オリジナル:日本語 字幕:カタルーニャ語 / 1966年 / 86分

 
悪人に芸者として売られてしまった質屋の娘は、体に巨大な女郎蜘蛛を彫られてしまった。やがて彼女は、本能のおもむくままに生き始める…
恋しい手代の新助と駆け落ちした質屋の娘お艶が、悪人のたくらみにかかり芸者として売られる。刺青師に麻薬をかがされ気を失い、白い肌一面に巨大な女郎グモを彫られたお艶は、男と女の欲望のうごめく世界を本能のうごめくまま生きていく…。

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兵隊やくざ / Hoodlum Soldier

2018年12月26日 (水) 21:30h 会場:Sala Laya
2018年12月27日 (木) 21:30h 会場:Sala Laya

オリジナル:日本語 字幕:カタルーニャ語 / 1965年 / 102分

 
起床ラッパは女郎屋で聞いて、 喧嘩で直す二日酔い!
昭和18年、極寒の地ソ満国境に近い孫呉の丘に、関東軍四万の兵舎があった。やくざの用心棒だった新兵・大宮は態度の大きさから上等兵集団に痛めつけられるが、指導係の名門生れのインテリ三年兵・有田に救われ、奇妙な友情が芽生える。戦況は切迫し有田の満期除隊の夢も潰え、大宮には南方へ出動命令が下された。大宮は有田をともなって脱走を計った。部隊を乗せた列車は切り離され、有田と大宮の乗った機関車は荒野をまっしぐらにばく進していった…。

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夫が見た「女の小箱」より / With My Husband’s Consent

2018年12月28日 (金) 19:00h 会場:Sala Laya
2018年12月29日 (土) 22:00h 会場:Sala Laya

オリジナル:日本語 字幕:カタルーニャ語 / 1964年 / 92分

 
人妻・那美子はナイトクラブの経営者・石塚と恋に落ちる。石塚が那美子の夫の会社の乗っ取りをたくらんでいるとは知らずに……。
会社の株式課長の重責を担う川代は、会社の株が何者かによって買い占められようとしていることに頭を悩ませていた。妻・那美子は、家庭をほったらかされた腹いせにバーへ遊びに行き、経営者・石塚に誘惑される。彼こそが川代の会社乗っ取りをたくらむ張本人。川代と妻・那美子、そして石塚とその秘書エミ、バーのマダム洋子。彼らが繰り広げる、陰謀と愛欲が入りまじった心理サスペンス。

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『増村保造』映画シリーズ

 
開催期間:2018年12月14日 (金) 〜29日 (土)
会場:Filmoteca de Catalunya
住所:Plaça de Salvador Seguí, 1-9, 08001 Barcelona
 
協力:国際交流基金マドリード日本文化センター