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9月25日と26日の両日、マドリードのCirculo de Bellas Artesで行われた「佐藤允彦+上杉亜希子、ジャズ・スペイン・コンサート」のレビュー記事を、マドリード在住の「ジャズ狂・哲」さんより御寄稿頂きましたので、掲載させて頂きます。

 


 

佐藤允彦は日本を代表するジャズ・ピアノの重鎮で、72歳になった今も活発に海外に出て活躍している。上杉亜希子は佐藤の押しかけ弟子のようで、佐藤のことを師匠と呼ぶらしい。新進気鋭のジャズ・ボーカル歌姫である。

今回はバルセロナでの公演を終えた後、マドリードで2日間のコンサートを行った。私が見たのは9月25日の第1夜21時からの公演で、CIRCULO DE BELLAS ARTES のカフェテリアで行われた。ジャズクラブ風の作りで、ジャズコンサートにはもってこいの雰囲気。会場はほぼ満席であった。

 
sep2014_jazz_1第一部はまず佐藤のソロピアノで3曲を続けて演奏。3曲目はウエザーリポートのジョーザビヌルが作曲した「BIRDLAND」で、懐かしい旋律を両手でユニゾン、更に右手では低音部から高音部への移行がすばらしい旋律を奏で、左手で抜群のリズムを披露した。

4曲目で歌手の上杉亜希子が登場し、まずはスタンダード曲 「ON A CLEAR DAY」をジャージーなリズムと乗りで披露した。ふと、ここはどこかな、もしかしたらニューヨークのジャズクラブにいるのかなと思わせる素晴らしい演奏であった。

次は「あたしの4月」(寺山修二作詞、佐藤允彦作曲)という曲で、ジャズっぽい日本語の曲を披露した。「言葉遊び歌」は日本語の数々の韻を踏んだ面白い言葉を並べた力作。

前半の最終曲はチックコリアの作曲した、もはやジャズの定番曲「SPAIN」を佐藤と上杉が素晴らしいアレンジで料理し、拍手が鳴り止まなかった。

 
sep2014_jazz_4後半はやはり佐藤のピアノソロで始まり数曲披露した後、上杉が「LAMMA BADA」というアラブ語の歌を披露した。後半5曲目は上杉がスタンダード曲「FLY ME TO THE MOON 」で最高の乗りを見せてくれた。「STELLA BY STARLIGHT」もにくいアレンジが光っていた。

残り2曲は「心」、「ひげ」で2曲とも萩原朔太郎や谷川俊太郎の詩に佐藤が曲をつけた作品である。アンコールにはパウ・カザルスの「鳥の歌」をカタラン語で披露し幕を閉じた。

 

 
佐藤は大変力強くピアノを鳴らし、リズムのある曲がお好みのようだ。 また上杉のボーカルはリズムの乗りのよさと低音から高音にかけて無理のない発声で、すばらしい歌声に感動した。彼女はカーメンマクレーに影響を受けジャズの道にはまったらしいが、私も一番好きなジャズ歌手はカーメンマクレーなので親しみを感じた。将来が楽しみである。

 
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【ジャズ狂 哲(マドリード在住)】