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2月20日、マドリードのReal Escuela Superior de Arte Dramático にて、在学生を対象とした「能講座」の1日目が開催された。
講師は、平成29年度文化庁文化交流しとして海外に日本文化への理解を広める役割を担う金剛流能楽師の種田道一氏。
 
受講生に対し、種田氏は始めに「能の歴史」と日本の武芸の始まりと終わりには重要な「礼節」を教授。
約2時間の講座では、代表的な能作品「高砂」の一部を受講生と歌い上げ、気持ちから能の世界へといざないっていく。そして、能の演技を構成する洗練された動きとなる型 (かた)、から基本姿勢の「カマエ」、動きの基本動作となる「ハコビ」などが教授されるころには、にこやかだった受講生にも緊張と真剣味が帯びてくる。種田氏は、受講生たちの飲み込みの早さに終始驚き、熱の入った講座となった。
日本の伝統芸能である能を、能楽師に直接学べるまたとない機会は、受講生にとって良い経験となることは間違いないだろう。

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金剛流
金剛流は能楽シテ方五流派のひとつで、古くは奈良の法隆寺に奉仕した猿楽座の坂戸座を源流とし、室町初期には春日興福寺に勤仕する大和猿楽四座のひとつとなり、のちに金剛座、そして現在の金剛流へと至った。
金剛流の芸風は、豪快でめざましい動きの中にも華麗・優美さがあり、「舞金剛 (まいこんごう)」といわれる。また、豊臣秀吉拝領の「雪の小面」や艶麗な「孫次郎」など、所蔵する能面・能装束に名品が多いことでも知られ「面金剛 (おもてこんごう)」とも言われている。五流のうち四流の宗家が東京を本拠地にしている中で、関西に宗家が在住する唯一の流儀となる。

 
feb2018_no-en-espana_2種田 道一


平成29年度 文化庁文化交流使
京都府京都市出身。能楽金剛流の職分家である種田家の四代目。1993年 京都市芸術新人賞を受賞。1998年 重要無形文化財(総合認定)に指定。1981年より、裏千家学園講師として能の講義を務める。また小学生を対象にした能楽体験教室など、能の普及にも積極的に取り組んでいる。
公益法人能楽協会理事、金剛会副理事長、茶道裏千家 (茶名:宗道) 種田後援会能主宰。
金剛能楽堂 公式サイト

 


取材協力:国際交流基金マドリード日本文化センター | Real Escuela Superior de Arte Dramático de Madrid