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7月22日、マドリード日本人会文化部主催により、父娘の尺八奏者、辻本公平・好美両氏によるコンサートが在スペイン日本大使館多目的ホールにて開催された

 

 
julio2014_shakuhachi_9父、辻本公平氏は、尺八の都山流・琴古流・直簫流の三流派を習得。中国に留学するなど東洋医学を学ばれ、「自分の演奏した音は、すなわち自分自身の状態なり」をモットーとされ、呼吸法・身体弛緩法を研究実戦しての尺八演奏を行われる。
 
娘の辻本好美氏は、父・公平氏から尺八の手ほどきを受け2010年に東京藝術大学音楽学部邦楽学科尺八専攻(琴古流)を卒業後、若手演奏家として日本国内はもとより海外でも広く演奏活動を行い、テレビなどのメディア出演もこなされている。

 

 
julio2014_shakuhachi_5邦楽にさらに豊かな響きを加える箏曲家の酒井良枝氏の客演を受け、公平氏はまず宮城道雄作の「春の海」を演奏。次に好美氏とともに、尺八楽古典本曲より「鹿之遠音」、「鶴の巣篭り」を披露。その後「里の秋」、「荒城の月」、「見上げてごらん、夜の星を」と日本の歌のメロディーの演奏があり、最後は琴の酒井氏と共に「風によせる三つの前奏曲」である「風光る」、「風冴ゆる」、「風薫る」の調べで締めくくる。

 

 
julio2014_shakuhachi_7超満員のホールを埋めた地元マドリードの聴衆は鳴りやまない拍手で応え、好美氏と良枝氏のデュオがアンコールとして水野利彦作の「スペインの夜」をプレゼント。
好美氏は自己紹介とコンサートの演目の説明を自らスペイン語で行った。ご本人によればにわか勉強で覚えたスペイン語との事だったが、ほぼ完璧なその発音には聴衆も皆びっくり。艶やかな着物姿と合わせスペインの聴衆を魅了した。

 

 
julio2014_shakuhachi_6コンサート終了後、尺八について強い興味を持った聴衆との質疑応答が行われ、尺八の材料は通常真竹だが、オーストラリアでは木で作られた尺八や、価格を抑える為にプラスティック製ものさえある事や、音程を取るのは指使いだけに留まらず、尺八を吹く際の口と楽器の角度によって調整するなど、興味深い尺八談義が行われた。
 
日本の伝統楽器を代表する尺八と琴。このコンサートによって邦楽がまた多くの新しいファンを獲得したことだろう。
 
公演ではマドリード日本人会文化部部長である石丸佳代子氏が名司会役を務められた他、コンサート終了後の演奏者との質疑応答を手際の良い同時通訳で切り抜けられ、スムーズな会の運営に貢献された。
 
このコンサートはマドリード日本人会文化部主催によるイベントで、日本スペイン交流400周年事業の一つです。

 
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