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スペイン北西部に位置するサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂に繋がる、「サンティアゴ巡礼路」と、日本の四国4県にまたがる「四国遍路」が、9月1日にサンティアゴ・デ・コンポステーラ市で、協力協定を締結する。

 
ユネスコの世界遺産に「道」が登録されることは稀で、これまでに登録されているのは世界でもサンティアゴ巡礼路と、熊野古道だけである。この二つの「道の世界遺産」は、1998年に姉妹道協定を結んでいる。今回の協力協定の締結によって、巡礼路を持つ地域同士の文化交流を促進し観光分野での相互協力を深めることで、四国遍路の世界遺産への登録を目指す。

2014年度に、スペインを訪れた日本人は46万人、日本を訪れたスペイン人は6万4千人を上回り、お互いの文化に対する関心が高いことを表している。
スペインは言わずと知れた観光大国。今回、ガリシア州と協力協定を締結する香川県、徳島県、高知県、愛媛県の四県は、スペインの経験から学び、地域の観光産業に生かそうと意気込む。

サンティアゴ巡礼路、熊野古道、四国遍路は、独自の歴史、自然環境、土着文化、伝統行事を持ち合わせており、それぞれの国の精神に通じていることが、共通点。それが今回の協力協定締結のきっかけとなった。

※ 2015年8月31日付にて、情報元の修正に伴い、記事内容の一部の表現を修正致しました。

 

サンティアゴ巡礼路

サンティアゴ・デ・コンポステーラの町の歴史は、9世紀にキリストの12使徒のひとり、聖ヤコブの墓が発見された頃に始まる。聖ヤコブはスペイン語で「サンティアゴ」。
やがて、現在の大聖堂の原型となる教会が建てられて、町が形成されていった。11世紀になると、「イエスや聖人にまつわる遺品である聖遺物には奇跡を起こす力がある。サンティアゴ・デ・コンポステーラに詣でれば、罪が許される。」と信じられ、ヨーロッパ中から巡礼者が訪れた。

サンティアゴ巡礼路

 © “DSCN0366” by Vince_Vega / May 9, 2012/ CC BY 2.0

巡礼者受け入れオフィス (Oficina de Acogida al Peregrino) の統計データによると、2014年には、237,886人の巡礼者がサンティアゴ・デ・コンポステーラを訪れた。その内、52.24%に及ぶ124,262人は、スペイン国籍を持たない外国人である。

巡礼に至った動機を尋ねた調査結果は、以下の通り。
「宗教上の理由」…42.46%(101,013人)
「宗教上と文化的理由」…50.62%(120,412人)
「文化的な理由のみ」…6.92%(16,461人)
この統計を見ると、近年は、観光やスポーツとして参加し、巡礼の道のりを楽しむ人が増えているというが、何らかの宗教的思いを抱いている人がほとんどだと分かる。

サンティアゴ巡礼路は、どこから始めるかによって様々なルートがある。
一番人気があるのは、「フランス人の道」で、68%の巡礼者が選んだ。スペイン国内だけでも約800キロある道。移動手段は徒歩、自転車、バス、鉄道と様々である。巡礼者はシンボルのホタテガイをぶら下げるのが習慣となっている。

© “Catedral de Santiago de Compostela” by Pablo Alejandro Araujo Granda / March 5, 2011/ CC BY-SA 2.0

 © “Catedral de Santiago de Compostela” by Pablo Alejandro Araujo Granda / March 5, 2011/ CC BY-SA 2.0

 

四国遍路

四国遍路は、四国八十八箇所(四国にある空海ゆかりの88ヶ所の寺院の総称)の霊場を巡拝することを指す。
一度の旅で88ヶ所を全て回った場合、全長は1100~1400㎞。交通手段は、徒歩、自転車、車、バス、と様々で、徒歩の場合は50日弱、車だと10日ほどかかるそうだ。参遍路は順番通りに回らなければならないわけではなく、都合によって何度かの旅に分けても良い。

熊野古道 @ JNTO

 

熊野古道

熊野古道は、熊野三山である、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社に詣でるための参詣道であり、三重県、奈良県、和歌山県、大阪府を通る。
2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコの世界文化遺産に登録された。日本の宗教文化の発展に貢献してきたことや、霊場と人々を結ぶ参詣道が現在に至るまで保存されてきたことが登録に至った理由である。
和歌山県とサンティアゴ・デ・コンポステーラが位置するガリシア州は観光交流協定を結んでいる。

熊野本宮大社 @ JNTO