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海外における日本文化普及の大きな牽引車のひとつになっているマンガとアニメ。
フランスの首都パリで開催されている「パリ・マンガ」展示会とともに欧州でも有数のマンガをテーマとした展示会であるバルセロナの「サロン・デル・マンガ」は今回で21回目を数え、過去最高の137,000人の入場者数を記録した。
日本文化好きが集まるこの会場では、マンガとアニメに留まらない日本文化全般を発信して行こうとの動きが年々活発になって来ている。
エスハポンのスタッフによる、サロン・デル・マンガの訪問レポートをお楽しみ下さい。

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バルセロナのサロン・デル・マンガは、今年度これまでの最多来場者数の記録を塗り替えた。
昨年13万人であった来場者数は今年5.4%の増加を記録。一昨年との比較では2万人以上の増加となった。また出展者数も増え、マンガ・アニメの多くのファンやコスプレイヤーたちがこのイベントへ足を運んだ。

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今年度のゲストとして『おやすみプンプン』の作者・浅野いにおや『アオハライド』の咲坂伊織、『アカメが斬る!』の田代哲也など、一流の漫画家たちが日本より招待され、ファンミーティングやサイン会などを行った。
また、任天堂のメインキャラクターとして有名なスーパーマリオの誕生30周年を記念し、スーパーマリオブラザーズの歴史に関する展示会も催された。

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日本文化を紹介するスペースEl Espíritu de Japón (日本の魂)では、昨年度に引き続き、在バルセロナ日本領事館が様々なワークショップやイベントを開催。
日本文化を紹介するスペースEl Espíritu de Japón (日本の魂)では、昨年度に引き続き、在バルセロナ日本領事館が様々なワークショップやイベントを開催。
ガウディ研究家・田中裕也氏とホアキン・ルナ氏による座談会「ガウディと私」では、田中氏が38年をかけて作成したガウディ建築の実測図も展示された。

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その他にも、将棋やけん玉、お守り、かんざし、漫画、お弁当文化、そして紙相撲などを扱ったワークショップが行われ、連日多くの参加者で賑わった。農林水産省主催の「日本食・食文化の世界的普及プロジェクト」のコーナーでは、日本食文化のプレゼンが行われ、後藤幸子講師による日本食・食文化の紹介、飾り巻寿司の実演、手巻き寿司調理体験・試食会も開催された。

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外務省の非核特使として本イベントに参加した被爆者・笠岡貞江氏は、1945年に起こった広島の悲劇を後世に伝え、同様の惨劇が将来に渡って繰り返されないことを願って、自らの経験を通して核兵器の残忍さについて語った。

 

 
スペインの出版業界では、現在日本のマンガの売り上げが好調で人気を博していることから、各出版社が更にその市場を拡大しようと試みている。

Norma Editorial出版社は、日本で流行している作品のほか、アニメ化されて間もない作品や、古典的で有名な作品まで様々な優れたタイトルを探し続けており、現在は『宇宙海賊キャプテンハーロック』や、ジャンプSQにて連載され映画化もされた『終わりのセラフ』、さらには、福島第一原子力発電所での悲劇を作業員が実際に描いた『いちえふ』などの作品の再刊を試みている。
また、Planeta出版社は、誕生30周年を迎えるスーパーマリオのマンガ出版に取りかかった他、少年漫画『僕のヒーローアカデミア』を競争力のある価格で出版していくことを発表した。

さらに、Ivrea出版社のレアンドロ・オベルト氏の発表によれば、『ワンパンマン』および『俺物語』がついにアニメ化される見込みであるほか、『ワンパンマン』については、スペインにて来年マンガとして出版される予定。

マンガ・アニメに留まらない日本文化の祭典、バルセロナのサロン・デル・マンガ。
毎年成長を続けるこのイベントは、スペインにての日本文化の普及に大きな役割を担っている。

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文:ルイス・アルフォンソ・アントン & マヌエル・フクダ

 
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