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シュルレアリスムの奇才ダリが日本にもたらしたもの
 
20世紀を代表する画家のひとり、スペイン人芸術家サルバドール・ダリ (1904-1989)。日本最大のダリ・コレクションを誇る諸橋近代美術館 (福島県) の所蔵作品を中心としたダリの魅惑的な絵画作品、そしてダリの衝撃を最初に受け、それを自らの創作に生かした日本の画家たちの表現も紹介する展覧会『ショック・オブ・ダリ -サルバドール・ダリと日本の前衛』が、三重県立美術館にて3月28日(日)まで開催されている。
 
1920年代末にシュルレアリスム (超現実主義) 運動に参加したダリは、精緻な写実描写技術をもって、潜在意識に由来する妄想を描出する独自の作風を築き、シュルレアリスムの造形芸術に新たな局面を開いた。その作品はヨーロッパだけにとどまらず、世界中で知られるようにまでなっていく。
 
ダリ作品は日本でも、とりわけ日本の若い前衛画家たちへ大きな衝撃を与えた。その影響は著しく、1930年代にダリ作品が本格的に紹介されると、急速にその影響が彼らの作品に現れる。彼らは各々の感受性をもってダリの芸術を吸収し、独創的な作品を生み出していく。
 
ダリ、そして日本の前衛画家たちの作品が見せる、奇想に富んだ魅力的な絵画世界を堪能するまたとない機会となる。

 

 
展示構成と見どころ

1章「サルバドール・ダリの世界」
諸橋近代美術館のコレクションを中心に約30点のダリ作品が一堂に会す。会場では、貴重な初期作品から、ダリ作品を代表する技法であるダブルイメージ (二重像) が用いられた傑作《ビキニの3つのスフィンクス》、だまし絵的な手法をもって描かれた独特な肖像画《アン・ウッドワード夫人の肖像》、そして1950年代に科学と宗教を融合させた核神秘主義時代の作品までダリの多様な作品を見ることができる。初期から晩年に至るダリの傑作が一会場に集まるこの貴重な機会に、その魅力あふれる幻想的な絵画世界を楽しめる。
 
2章「ダリは日本にどう知られたか?」
ダリの作品がどのようにして日本に紹介されたのか、文献資料を基に解き明かしていく。日本におけるダリ受容は1930年代に始まった。会場では、初めてダリを本格的に紹介した瀧口修造の記事「サルウァドル・ダリと日合理性の絵画」が掲載された1936年の『みづゑ』誌や、1939年に発刊された日本初のダリ画集、そしてポール・エリュアールから山中散生に送られた、ダリの手による非常に貴重なデッサンまで見ることができる。これらの資料は、ダリの芸術、および日本の前衛画家たちによるダリの受容を一考する、またとない機会を提供してくれることとなる。
 
3章「日本の前衛 影響の広がりと新たな絵画言語の探求」
1939年、美術評論家の瀧口修造は、「ダリの影響が一部の若い作家に間に、不可視な光線のやうに迅速に伝播した」と記している。事実、ダリ作品が紹介された1930年代、その影響たるやすざましく、多くの日本人前衛画家たちが自身の作品に、ダリ作品を思わせるような荒野の風景や地平線、歪んだモティーフを描きいれるようになった。しかし、彼らは単なるダリの模倣者になることはなかった。それぞれが独自の感性でダリ作品を吸収し、独創的な作品を生み出した。本展では25人の日本人画家による約50点の作品を紹介している。それらにはいずれも画家たちの個性が色濃く反映され、ダリとは一風変わった作品世界を見せてくれる。

 
関連イベントとして、2月27日(土) 14:00~15:30に東京国立近代美術館美術課長・大谷省吾氏を迎え、記念講演会「彼らはダリの何に惹かれたのか」が、40名限定 / 参加費無料にて開催される。参加希望者には、講演会当日午前11時よりインフォメーションにて整理券が配布される。
 
その他にも、2月13日(土)、3月6日(土) の14:00~14:30頃には担当学芸員が展覧会の見どころを紹介する「担当学芸員によるスライド・トークショー」が定員40名 / 参加費無料で開催される。
 
展覧会の出品リストはこちらからご覧頂けます。

 

 

展覧会『ショック・オブ・ダリ -サルバドール・ダリと日本の前衛』
 
会期:2021年1月9日(土)~3月28日(日)
   9:30~17:00 (入館は16:30まで)
会場:三重県立美術館 企画展示室
住所:三重県津市大谷町11
 
観覧料:
一般 1,000 (800)円 / 学生 800 (600)円 / 高校生以下 無料
*( )内は前売りおよび20名以上の団体割引料金
*この価格で「美術館のコレクション」、「柳原義達の芸術」も観覧可
*障害者手帳等を持参、および付き添いの方1名まで観覧無料
*教育活動の一環として県内学校 (幼・小・中・高・特別支援)および相当施設が来館する場合は、引率者も観覧無料 (要申請)
*家庭の日 (1/17、2/21、3/21) は団体割引料金で観覧可
*主な前売り券発売所:チケットぴあ、サークルKサンクス、セブン-イレブン他
 
主催:三重県立美術館、中日新聞社
特別協力:公益財団法人諸橋近代美術館
助成:公益財団法人三重県立美術館協力会
 
三重県立美術館
公式サイト | Twitter

 

 
情報元:三重県立美術館